選んでくれた人
吉井雄一
PARIYA / THE CONTEMPORARY FIX オーナー
MISTERGENTLEMAN デザイナー
CITYSHOP クリエイティブ・ディレクター
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#1.Frank Ocean 『Blonde』
このアルバムを彼の過去のキャリアのフィルターを通して聴くことなかれ、世の中に溢れてるその他の音楽と比べることなかれ、どこのジャンルや文脈にも属さない、これぞホントの意味のインディペンデント・ミュージック。僕の2016年はこのアルバムのおかげで随分モチベーションが上がったと言い切れるし、実際いまだに毎日のように聴いてます。もう少し分かりやすいものを期待してた人は口をあんぐりさせたと思うんだけど、聴けば聴くほどこのアルバムの深さにため息しかでない、2016年究極のアンビエント~ミニマル・ミュージックのコンセプトアルバム。メジャーでの置き土産アルバム『ENDLESS』を発表直後に自らのレーベルからリリース、発売日に世界数カ所でゲリラで勃発したポップアップショップのオープンや同時製作していた豪華写真集など、リリース周辺のファンを振り回すアクションがあまりにドキドキで久々興奮しました。
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#2.Solange 『A Seat at the Table』
Frank Oceanと並んで2016年のミュージックシーンの最高峰がこのSolangeのセルフプロデュースによる8年ぶりの新作。この数年自らのレーベルで模索し続けてた彼女のモダンでアートでオルタナティヴなR&Bの方向性にここに来て時代が追いついたと言った方が良いんだろうね。他の誰でもない、自分にしか出来ない自己表現を突き詰めて行った先に待ってたソフトフォーカスされた万華鏡的夢見心地な世界はフレッシュで香り高く、深いコクを醸し出しています。僕のプレイリストのクラシック殿堂入りです。
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#3.宇多田ヒカル 『Fantôme』
個人的に Frank OceanとSolangeの方向性とアトモスフェリックなところで同じものを感じるんだよね。2016年、この3人はそれぞれ離れたとこにいながら(ある意味)同じ方向を見据えていたということに驚きを隠せない。いろいろくぐり抜けて、もうただのポップミュージックをやることには全く興味がない、というか、物事の考え方が根本から「変わりそう」とかじゃなく「もう既に変わったんだよ」ってことを教えてくれる。この先の未来において自分はどうあるべきか、どうありたいと願うのか、毎日悩みは尽きないけれど、この3人が指し示した世界に大きなヒントがある気がしてます。