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#1.The Vision 『Heaven』
DJ KONとBen West Beechによる新ユニットのヒットシングル。ハウス、ディスコ、ヒップホップ、ソウル、ゴスペルのブレンドは、UKでブレイク! NYハウスの大物達がこぞってプレイするにもかかわらず、歌物ハウスが好きな筈の日本ではジャズ系のシーンで支持された。それもその筈、サックス奏者・Robert Watsonの楽曲が下敷きになっており、2010年代を締め括るクロスオーバー・ミュージックの到達点が完成した。
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#2.Ashley Henry 『Beautiful Vinyl Hunter』
南ロンドンのジャズ・シーンの中から遂にメジャーデビューを果たした、若手ピアニストのデビューフルアルバム。ニューヨークからロサンゼルスに拡がった現行ジャズに対するUKからの返答。アメリカのミュージシャンも参加して、新世代の存在感を世界にアピールもした。演奏、作曲能力、カバーのチョイス、人選まで、DJ感覚で幼少の頃からアナログを蒐集し続ける彼の稀有な感覚が、プロデューサーとしても評価の高い所以でもある。若いクラブオーディエンスから年期の入ったダンサーまでをも魅了する幅広いファン層は、ジャズの可能性を改めて証明してみせた。来日が待ち遠しい。
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#3.松岡直也 『彼女のことーくせ』
個人的な2019年最大のニュー・ディスカバリーはこれ! 和ジャズ~和ブギーを経て、シティー・ポップスまで海外での人気が拡張する国産音楽だが、ここ数年は80年代から90年代のオブスキュアー・サウンドまでが発掘対象となるなど、対象地殻の変動が著しい。そんな中、わたせせいぞうのジャケが苦手で忌避していた80年代の松岡直也作品を自分が手にする時が来るとは……。ビートメイカー・Onraの作品かと聴き違えるかのようなエレクトリックでアーバンなブギー・ファンクは、既にマニアの間では人気沸騰中だとか。永井博再評価の次に来るのは、わたせせいぞうなのか!?