アメリカの作家にレイチェル・カーソンという人がいる。Masteredの読者の方々にはあまり馴染みのない名前かも知れないが、1962年に「沈黙の春」という、化学物質が自然環境にもたらす悪影響を「鳥たちが鳴かなくなった静かな春」という出来事を通して、訴えかけた環境保護思想のバイブルとして今なお、多くの人々に読み継がれている名著の著者である。 その彼女のもう一つの代表作(彼女が没後に発表された)に「センス・オブ・ワンダー」がある。この言葉は「神秘さや不思議さに目を見張る感性」と訳される。レイチェルは姪の4歳になる息子ロジャーからその大切さを学び、そしてそれを子供たちと子供を持つ親たちに伝えたかったのだ。 しかし、そのレイチェルの想いとは裏腹に、21世紀を生きる人間達は時を経るにつれて、加速する時間軸の中でその感性を退化させ失ってゆく。 「自然と対峙して経験し学び想像する」 そんな、本来人間が生涯をかけて行うべき「かけがいのないもの」を見つけるための場所を、素晴らしい自然豊かなこの日本の何処かに創ってみたい。 其処でみんなが感じることが豊かな世界への一歩となる事を夢見ている。

小口大介
株式会社ゴールドウイン アウトドアスタイル事業本部プレスチーム リーダー兼
THE NORTH FACE STANDARD ディレクター

1973年北海道生まれ。