「ぽんと渡す」

僕にはある友人がいます。数少ない僕のグラフィック物のアイテムやタグなどのデザインを、彼に仕事として依頼しています。しかし、それを仕事として誰かもから受ける事を彼は望んでいないのか、彼はグラフィックデザイナーとしての仕事はほとんどしていません。生きているのがたまに不思議に思います。彼とは最近何故かモノポリーばかりしています。いつか僕は彼に何百万円かぽんと渡してみたいです。もしかしたら一部ゲームや駄菓子などに使ってしまうかもしれませんが、世の中に素敵な何かを見せてくれそうなのでそれくらいは許そうと思います。今はまだ自分の生活で精一杯なのでその行為は難しいです。客観的に見ると社会人としてはNGですが、彼は特殊です。そんな彼と数十年後もお互い不思議と生活できているとうれしいです。この僕の夢を彼は全く望んでいない事は分かっています。そこが好きです。彼は特殊です。

小林資幸
PHINGERINデザイナー

1983年生まれ。広島県出身。文化服装学院ファッション工科アパレルデザイン科卒業。在学中より宇川直宏主催Mixroofficeにてインターン研修、友人と共にCIDER MOUSE POSSE(現CYDER HOUSE)名義で1年間活動する。後にPHINGERIN名義でパジャマを製作し、手売りで1年間売り歩く。