僕もモノ作りが好きだ。今の工場のことも嫌いではないし、辞めたくない。でも、自分ではどうにもできない現実を目の当たりにした時に逃げ出したくなってマスターピースの企画の面接を受けにきた。
冨士松さんは僕らではどうにもできない日本の工場事情に一石を投じるべく、動こうとしている。
「惠さん、この計画を実現させるため、企画ではなく、職人として僕に協力してもらえませんか?」
冨士松さんのこの言葉のあと、僕は一つ返事でこういった。
「是非!」
職人としてリベンジしてやる。そう、自分自身の心に誓った。