• #1.Rosalia 『EL MAL QUERER』

    もともとオールド・スクールなフラメンコを歌っていたという彼女が前進するために私財を投じ、同じくスペインのプロダクションチーム”CANADA"とタッグして作り上げた作品。とにかくYouTubeにあるビデオ見てください。CANADAの製作するMVはMIAとかBad Gyalとかいろいろだいたいすごいのですが、特に本作のリード”Malamente”、”PIENSO EN TU MIRA”の仕上がりはダントツ本年優勝。同じCANADAより同じく素晴らしい楽曲とMVを毎度リリースしていたのにいまいちブレイクスルーが無かったEl Guinchoが本作のプロダクションで参加し日の目を見たこともアツかったです。全世界どこ行ってもトラップ全盛の昨今に伝統と革新をここまで高次元で融合した作品を他に知りません。そしてこれがバッチリ評価されているのも最高です。なぜもっと身辺でも騒ぎにならないのか不思議でなりません。ともう日本盤とかなくなったので逆に日本にこういうのが響かなくなってきましたね。興味さえあればサブスクで聞けますが。ちなみにCANADA制作のEl Guinchoの”Bombay”というMVは昔”NO.1”という楽曲のビデオを撮影してもらったとき、監督がリファレンスに持ってきて衝撃を受けたブツで、そもそもこのCANADAがずっと格好いいんですよね。同じくスペインのBad Gyalの最近のビデオもそうですよ。インディ製作で最終的にはソニーのライセンスで世界的に売れたボトムアップな流れも最高です。熱意も戦略も内容も良い、文句なしの優勝です。

  • #2.dodo 『default』

    昨年末から今年にかけて1番、いい曲をいっぱいリリースしたラッパーはdodo氏でないでしょうか。リリースはされませんでしたがYouTubeにあるrev3.11のも良かったしsoakubeats氏への客演も良かったです。本作収録の”kill more it”は本当に凄い曲だと思います。自分でステディカムを持って撮影しているMVも。セルフで淡々とリリースしていくスタイルも良いと思います。最近出た”hitory”も同じく最高。裏を返せば替えが効かない唯一無二の存在、ということです。

  • #3.Orangeade 『わたしを離さないで』

    よく考えたら北園みなみ氏関連作品を毎年ベストに入れていて、もはや反射で褒めすぎている気もしますが、彼を擁するOrangeadeの新譜もやはりそれを避けることができない仕上がりでした。カメラ=万年筆の佐藤望氏、本作まで存じ上げなかった黒澤鷹輔氏の3人組。本年唯一2枚7インチを購入したのがこちらです。普通に稼働する2名をよそに北園氏はインタビューにもライブにも現れなかったり、相変わらずネットでの発言は怖いし……なんだかそんな同世代の天才が他にもう1人思い当たりますが、きっと彼と同じく中身はいい人なんだと思います。だって曲も歌詞もストレートに素敵だから……。ちなみにそんな北園氏アレンジの楽曲を含むLampの新譜も最高でした。3枚しか欄がなかったので本文紹介で恐縮ですがLamp”彼女の時計”も素晴らしかったです。本年1番LPで聴きたい作品です。