-
#1.Odunsi(The Engine) 『Better Days / Waintin Day』
ナイジェリアのムーブメント「オルテ」の中心的アーティストのシングル。ここ数年はアフロポップ面白いと思って聴いてて、その中でもこいつらは良いな、と思うものを無為にピックアップしてたら、実はほとんどがナイジェリアのアーティストで、しかもそれらが「オルテ」と呼ばれるひとつのムーブメントであることを後で知る。機材の発達で同じクオリティを出せてネットにより情報の格差が無くなり、一聴するとUSやUKと何も変わらないと思うかもしれない。それまでの”変な音楽”としてのワールドミュージックという植民地主義的な捉え方ではなく、今の世界的な標準からしてもむしろ品質や美意識は高く、そしてそこになお国民性的なものが色濃く見えるという所が自分的には面白い。インターネットの弊害の方が語られがちになった昨今だからこそ、こういった並列化のポジティブな側面が見られるのがすごく嬉しかった。
-
#2.Rico Nasty & Kenny Beats 『Anger Management』
怒れるRico NastyとKenny Beatsのジョイント作。怒りや悩みを様々な形で表現するのは現在のトレンドのひとつ、むしろもはやメインに取って代わりつつある昨今ですが、こちらが個人的には頭ひとつ抜けてました。どこか演劇的にも見えるような攻撃的なラップスタイル(個人的にJin Doggも)と、良く出来ている、という中にもアイデアが光るKenny Beatsの相性は最高。30代殺しな”Dirt off your shoulder”ネタやBaauerの起用、”Sell Out”なんかはギターの処理もトピックも完全に今の気分。外を歩いてて、このアルバムを再生して1曲目、”cold”のラップが入ってくるその瞬間、いつも息を止めてしまうほどの迫力があった。
-
#3.Reckonwrong 『Whities 018』
リリースは2018年末なんですが、今年のレーベル賞はWhitieなのでリスニングとして最も聴いているこちらを。Whitiesからのリリースは先鋭的な部分が最も大事なのではなく、個々の最も本質的な部分がポロッと出てくるような印象があって、なぜそう感じるのかはわからないけど、どれも姿勢を正して向き合ってしまうような部分がある。RECKONWRONGは前回のリリースも素晴らしかったけども、18番に関してはほとんど完璧と言ってもいいくらい良くて、現代的なダンスミュージックとの親和性もすごいのに素朴にも思える。本物のドライフラワーが入ったレコードの仕様もデザインも美しくて、虚しさそのままの中にあるポジティブを捉えられるような音楽が聴きたい、という僕の尊大な欲望をさらに軽々と超えてくるようなところがある。本当に素晴らしいです。