1992年、兄タケイグッドマンの企画でビースティボーイズのジャパンツアーに同行したのがきっかけでメンバーと知り合えた。彼らがデビューして以来大ファンだった僕にとってそれは夢のような出来事だった。
それから20年。ある時は僕らがアメリカに行ったとき、またある時は彼らが東京に来たとき、いろいろな場面で僕らは夢の中にいた。
もちろんMCAだけの話じゃなくて、彼の素晴らしい仲間、アドロックとマイクDとも。ビースティボーイズについて僕が惹かれるのは彼らの卓越したユーモアのセンスとニューヨーカー的な審美眼、そして常に重心が自分たちの中にあるという点においてだった。基準が自分達の中にあるからぶれない。
そしてそれがいつも最高にカッコよくて、最高に面白い。僕が「インターギャラクティック」の日本ロケのコーディネートをしたとき、彼らは渋谷のホテルの1室であのコスチュームを3人フル装備して、ポーズの練習をしていた。新橋の山手線駅前や新宿駅の地下で撮影したあの3人でのポージングを真顔で3回曲を頭から最後までかけながら練習して本番に挑んだ。
最高にばかばかしくて、最高にカッコよかった。
現場での彼らもすごかった。ひげを付けたマイクDも全力投球、リーゼントのズラをつけたアドロックも全力投球。
新宿都庁前では警備員に見つかり、逃げなきゃいいのに全力疾走。「殺されるかと思った」(アドロック談)。
そして着地点はいつも爆笑。最高で最強の3人組。
ぼくはいつもビースティボーイズのライブではあまりのかっこよさに鳥肌が立ちっぱなしだったが、「Sure Shot」を聴いて車の中で涙を滲ませる日が来るとは思っていなかった。
残念ながら僕らの祈りは届かなかったけれど彼は最後にまた最高の作品を残してくれた。
そしてそれを支えた仲間たちの思いの詰まった作品が「Hot Sauce Committee Part Two Blu-ray」だ。
120ページにも及ぶ「Make Some Noise」メイキング写真集付きパッケージで、フルアルバム、リミックスも5.1ch,stereoで収録、Spike Jones監督の手掛けたSanti Gold参加のビデオ(僕も関わったBape製ビースティフィギュアが大フィーチャ。もちろん連絡はなし!最高!)も収録されている。
機会があったらぜひ見ていただきたい。

MATT TAKEI
TAKEI BROTHERS

スクールプロダクションズにてスチャダラパー、高木完の制作を担当し、その後、BAPE®にてエイプサウンズ制作を担当し、ベイプヘッズショー、テリヤキボーイズなど手がけ現在に至る。